前回に続き、『カジノ・ロワイヤル』のキャスト別感想を振り返ります!
今回はトップコンビを除く、退団される方々についてです。
キャスト別感想
寿つかさ(ゲオルギー・ロマノヴィッチ・ロマノフ大公)
寿さんしか出せない軽妙洒脱な雰囲気がたまりません。
生まれや育ちがいいのにずる賢い、でも賭博で財産を失ってしまうボンボン育ち感、そして財産を失っても悲壮感を感じさせない大物感。
それらを絶妙に融合させて出せる味わいは、本当に寿さんならでは。
寿さんはコメディセンスもかなりおありだと思うのですが、本作でも真面目に話しているのに面白い、という場面がいくつもあり、
間の取り方や言い方がさすがだなあと感心させられました。
セリフがない場面では、戴冠式でラスプーチン登場後、後ろの方で親指を立てて合図する様子が本当に滑稽!(もちろん褒めてます)
最後の場面のセリフは寿さんご本人のメッセージのようにも聞こえ、毎回観客席から大きな拍手が起こっています。
フィナーレのダンス場面では、軽く身体を揺らすだけでも男役の粋が詰まったカッコ良さを見せつけてくれます。
寿さんのダンスは、キレと力の抜け具合が本当にカッコいいですよね。
芹香さんに「後は託したよ」と言っているような振りの後はけていく場面があり、ここでも大きな拍手でした。
秋音光(技術官Q・刑事)
技術官Qは映画によってイメージが違うのですが、秋音さんは年配者風。
セリフ運びや佇まいから、長年秘密兵器作りだけに専念してきたオタク味を感じる役作りです。
ボンドに秘密兵器の説明をする真風さんと二人だけの場面は、温かく微笑ましい雰囲気で、忘れられない場面になりました。
刑事は少しとぼけた憎めない印象です。映画やドラマで時々こんな刑事さんを見かけますよね。
銀橋で桜木さんと天彩さんに「愛し合ってるの~?」と言うときの表情が、美人の秋音さんなのに可笑しさがあって、とても印象的でした。
カジノの場面では華僑の富豪を演じているのですが、『オーシャンズ11』で演じていたイエンが、
金庫破りで得た大金を手に紛れ込んでいるような感じがして面白かったです。
そんなところも小池先生の愛情の表れなんでしょうね…!
紫藤りゅう(フェリックス・ライター)
なかなか登場しないのですが、登場後はさりげなくボンドたちの窮地を救う、カッコいいCIAのスパイです。
最後は水音志保さんと山吹ひばりさんを両手にモテモテ感満載で退場。似合いすぎます。キャデラックに乗っている場面も見たかった。。
銀橋で真風涼帆さん、瑠風輝さんと3人で歌う場面は、スタイリッシュな男役の魅力をたくさん感じて、忘れられない場面になりました。
ここの場面は歌詞が本当に感動的で、「いつかまた出会ったら 共に戦おう」と…
最後に3人が手を重ねるところは、もう尊いとさえ思ってしまいます…!
紫藤さんはどこまでもシュッとしてカッコよく、ロイヤル感もあって美しいのですが、お芝居ではそれらとは相反する骨太感をいつも感じていました。
今回も、見た目はものすごくシュッとしているカッコいいスパイなのに、声やセリフの言い方にアメリカらしいワイルドさがあって、
そのギャップが紫藤さんの魅力の一つだなと改めて感じさせられました。
澄風なぎ(支配人ジェラール)
これまでも落ち着きのある演技と声で、それほど目立つ役ではないのにも関わらず、存在感がすごかった澄風さん。
今回の支配人ジェラール役もカジノの雰囲気を引き締める役どころでしたが、見事に演じられていて、
いい声でセリフも多く、これまで以上に存在感がありました。
特に、最後の小春乃さよさん演じるデルフィーヌのお母さんマイヤをホテルから送り出す場面では、
支配人の丁寧さと温かさを感じる演技と表情が、本当に素晴らしかったです。
お芝居に厚みを出せる澄風さんをもう観られなくなるのは寂しいです。。
湖風珀(ボリス)
鷹翔千空さん演じるイリヤの部下役。
登場場面のメゾン・ダムールでは、真風さんと瑠風さんを隠し撮りしていたのが見つかってしまい、
最後には銃撃戦でイリヤに「ボス~!」と助けを求める、ちょっと頼りなさげな部下でしたが、
一方では切れ者イリヤが信頼を置いている「できる部下」という感じも出ていて、心に残る演技でした。
フィナーレのロケットでもとても目立っていて、笑顔が素敵で印象的でした。
これからのご活躍を楽しみにしていたので、ご卒業は本当に残念です。
退団される生徒さんたちが次回はもう宙組にいないなんて、寂しい気持ちでいっぱいです。
でも、みなさん個性にぴったり合った役で退団できて本当によかったね…!という気持ちもあり、
明るい気持ちで今後のご活躍を楽しみにしたいので、残りの公演も全力で応援したいと思います!
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