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ゆり
子供のころからファンだった宝塚歌劇
結婚や子育てで離れていましたが
2011年から観劇を再開しました。

夫が病で亡くなって一人暮らしとなり
宝塚歌劇に生きる活力をもらいながら
感動と心地よい暮らしを
積み重ねていくことが目標です。

何歳になっても元気に大劇場へ通うため
ピラティスや姿勢改善など
セルフケアにも取り組んでいます。

宙組多めの全組観劇派です。
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男のロマンに拒否感【感想】雪組『双曲線上のカルテ』配信

雪組の和希そらさん東上主演公演『双曲線上のカルテ』の配信を視聴しました。

この公演のチケットは取れず、本当に残念に思っていたので見ることができて良かったのですが、

感想はかなり辛口になってしまいました。

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目次

全体の感想

時代設定はいつなのか

『双曲線上のカルテ』は、2012年に雪組の早霧せいなさん主演で上演された作品で、

渡辺淳一氏の医療小説「無影燈」を原作に、舞台をイタリアに変更してミュージカル化したもの。

原作・初演とも拝見しておらず、今回の配信が初めてでした。

和希さん演じるフェルナンドと、華純沙那さん演じるモニカの恋愛を軸に、

真の医療とは、愛とは、そして命とは…という深遠なテーマを真正面から描き出すヒューマンドラマ。

原作の「無影燈」が発表されたのは1972年だそうですが、

今回の舞台もその頃の時代設定だったのでしょうか?

ちゃんとした説明があったのを聞き逃したのかもしれませんが、

見ている間、一体いつ頃の話なのだろう…?とずっと気になってしまいました。

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というのも、原作が書かれた70年代頃は、患者に病状の告知をしないのはよく聞く話でしたが、

現代ではきちんと伝えるのが主流なので、つい疑問に思ってしまい。。  

はっきりいつの時代のストーリーなのか示してくれればその前提で鑑賞することができたのですが、

時代を気にして見ていたら、チェーザレの孫が着ているパーカーに

「2017」とプリントされているのが見えて、現代の話なのか…?と思ったり…

何が言いたいかというと、死生観や男女観が70年代と現代では全然違うので、

前提となる時代が異なると、作品の見え方が全然違って見えてくるということです。

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男のロマンについていけない

学生だった80年代に、原作者である渡辺淳一氏の「解剖学的女性論」を読んだのですが、

彼の男女観には、かなりの嫌悪感を抱いてしまいました。

文学性とかはよく分からないので、あくまで個人的な感想ですが、

端的に言うと男尊女卑で、女性に対する勝手な断定がすごい世界。

それ以来、彼の描く世界は素直に見られないんです。。

二幕に入ってからは、フェルナンドの傲慢さや身勝手さにがっかりな気分でした。

決して和希さんの演技のせいではないんですよ…!

最後のフェルナンドとモニカの子供が登場する場面は、は?何それ…?と

怒りにも似た気持ちになってしまい、美しい背景のひまわりも空々しく感じられ、

物語の美しさなど到底理解できない最低な気分になってしまいました。

フェルナンドの死に対する向き合い方、彼なりの美学で美しい湖での自死を選ぶ、それは受け入れられたのです。

でも何故、モニカに子供を残すのか?

自分が生きていた証として、自分の子供を残しておきたかったんでしょうか?

若いモニカの人生のその後を、思いやることはできなかったのでしょうか…。。

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そういった流れは原作者である渡辺淳一氏が感じる男のロマンなのでしょうが、

フェルナンドがただの独りよがりな自己中心的人物に思えて、

和希さんが熱演しているだけに、余計モヤモヤした気分になって視聴を終えました。

若い女性が演じ、演出も樫畑亜依子先生、さらに女性の観客が多い宝塚です。

今回この作品が選ばれた理由は分かりませんが、私はこの作品に良い感情を持つことができませんでした。

一幕では命や死に対する尊い思いに感動していたのに、二幕では男のロマンのせいでその感動がかき消され。。

そういう価値観の話と割り切り、宝塚の舞台を楽しむという姿勢で見ればよかったのかもしれませんが、

どうしてもそのように観ることはできず。

何度か観劇すると、また見え方が変わってくるのでしょうか…?

できればそうであってほしいです。

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キャスト別の感想

和希そら(フェルナンド・デ・ロッシ)

全体をとおしてシリアスな表情で、開襟のスーツ姿がもうかなり大人の雰囲気ですね!

白衣の下もきちんとネクタイをしている縣千さんとは対照的に、和希さんは白衣の下も開襟。

孤独で常識にとらわれない人物設定を、衣装でも表しているのかなと思いました。

フェルナンドは野々花ひまりさん演じる院長の娘に対して、無責任で冷たい態度を取るのですが、

その演技には和希さんの誠実さが見え隠れしていて、完全に嫌な奴と思わせないところはさすが。

と思うと同時に、逆にもっと冷徹さを出した方がよいとも思いました。

その他で特に印象的だった演技は、神経質そうにたばこを吸う姿。

ピリピリした冷たいものが、舞台に張り詰めているのが見えるようでした…!

明るく陽気なイメージを封印して挑戦した今回の重いテーマを、本当にしっかり体現されていたと思います。

最後はフィナーレがあって、キレキレなダンスが見られて良かったです!

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華純沙那(モニカ・アッカルド)

可愛らしさが前面に出ている人物設定で、純粋なひたむきさが魅力的。

角度によって、かつての娘役トップ檀れいさんに似ているように見えて、

可愛いだけではなく、大人の女性も演じられそうで今後の可能性を大いに感じました。

和希さんとの並びも良かったです!

縣千(ランベルト・ヴァレンティーノ)

休演されていたので心配しましたが、復帰されて本当に良かったですね。

ランベルトは、和希さん演じるフェルナンドとは対照的なタイプ。

生真面目な感じが、気性のまっすぐなイメージの縣さんらしくて役にはまっていました。

歌はまだまだ課題がありそうですが、

きっちりネクタイをした姿に、縣さんのカッコよさを再認識しました。

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雪組の二番手は和希さんの一期上の朝美絢さんですが、

このままそれぞれステップアップしていくのでしょうか。

今後の劇団の差配がとても気になります。

宙組の下級生時代から見守ってきた和希さんに、明るい未来が開けるよう願っています!     

お付き合いありがとうございました。
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