日本経済新聞の10月11日付夕刊に、宝塚関連の面白い記事が掲載されていました。
「違う性別、演じる秘訣は?」という記事。
もうお読みになった方も多いかもしれませんが、ご紹介しますね。
違う性別、演じる秘訣は?
上記のタイトルで、宝塚の男役と歌舞伎の女形がどうすれば「男らしく見えるか」「女らしく見えるか」について記載されていました。
自分とは異なる性別の役を演じるには様々な秘訣があるのでしょうが、基本である見た目の姿作りが対照的で面白かったです。
【宝塚】男役のコツ
男役のコツを教えてくださったのは、元雪組のトップスター水夏希さん。
入団したばかりの男役に上級生が教える体の使い方の一番の基礎は、脇を開けること。
腕と胴体の間に空間を作るのがコツで、肘を外側に突き出すように腕を構えると、肩幅が広く胸板も大きく見えるそうです。
歩き方のコツは、足で歩かず、腰で歩く。
腰から足全体を大きく動かすようにして大股で歩き、歩幅を広く取れば足も自然と長く見えるとのこと。
今はコロナ禍で生徒さんたちの入りや出を目にすることは出来ませんが、
以前の楽屋入りする男役さんたちを思い出してみると、みなさん大股で颯爽と歩いてらっしゃいましたよね。
舞台上だけでなく、普段から男役として自然に振舞えるよう心がけていらっしゃるのが見て取れました。
【歌舞伎】女形のコツ
上方歌舞伎の女形を務める片岡千寿さんは、女形のコツを3つあげています。
- 肩を下げる
- 客に対して正面を向かない
- ひざを折り曲げて腰をぐっと落とす
一つ目と二つ目は肩幅を小さく見せることに、三つ目は背の高さを低く見せることに関係していて、
できる限り体を小さくみせるよう工夫されていることがよくわかります。
西洋ではタブーだった異性装
西洋では宗教上の理由で、異性の格好をすること(=異性装)をタブー視する考えが広くあったそうです。
そのため、日本の歌舞伎のように異性の格好をして演じるという文化が広まりにくかったとか。
日本ではそのような考えがほとんどないので、歌舞伎や宝塚が普及して楽しめるようになったという説もあるそうです。
宗教上のことはよくわかりませんが…
単純に歌舞伎や宝塚を楽しめる文化で本当に良かったと思います。
男役にしても女形にしても、異性が演じるからこそ、かえってその所作が美しく感じられることはありませんか?
その美しい所作は、それぞれに理想の男性・女性像を追求し、研究に研究を重ねた結果なんでしょうね。
二重の異性装まである宝塚
宝塚では、女性っぽい男役さんが出てくる演目がありますよね。
たとえば、星組の『The Lost Glory』で壱城あずささんが演じたムッシュ・ヴァランや、宙組の『王妃の館』で蒼羽りくさんが演じたクレヨン(黒岩源太郎)など。
改めて考えると、まあ複雑ですよね。二重の異性装なんて。。
本来は女性なのに男役を演じ、その演目の中で女性っぽさを演じるという…
特に蒼羽さんが演じたクレヨンは、ちょっといかつめ(澄輝さやとさん演じる堅物な警察官に「照れちゃってかわいい!」っていう太い声とか…!)な男性が女装をしている設定だったので、より主張が強くとても印象に残りました。
元々きれいな方ですし、女装は当たり前にきれいなはずなのに…まさに積み重ねた男役としての演技力の賜物ですよね。
最後は澄輝さんとカップルになってしまう観客想定外?の結末にも、蒼羽さんの見事な演技力で温かい拍手が沸き起こっていました。
100年以上続く宝塚にも、ジェンダーフリーの考えが少しずつ浸透してきているのかもしれません。
時代とともに人々の考え方も変わっていきます。
現代の女性には、女形の小さな歩き方よりも男役の颯爽とした歩き方の方が参考になるかもしれませんね!
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