遅ればせながら月組『応天の門』を観劇してきました。
平安時代のお話と聞いて、雅やかな王朝風俗が繰り広げられるのだろうと想像していたのですが、
結論から言えば、いい意味で期待を裏切られた作品でした。
今日はその感想をお話ししたいと思います。
全体の感想
平安時代のイメージは、十二単を着て和歌をやり取りする様子がまず思い浮かぶので、
月城さんが束帯姿で優雅に歌をしたためているのだろうかと最初は想像していたのですが…
作品紹介に「平安朝クライム」とあるように、これはラブロマンスではなくサスペンスのようで、私の思い描いていた世界とは違いそう。。
実際に観劇してみると、やはり想像とは全然違う世界でした。
考えてみれば平安時代は、平城京から平安京に都を移してから、鎌倉幕府が成立するまで約400年間もあるんですよね。
400年もあると、文化や服装などが変遷するのは当然でした。
浅い歴史的知識しかなかったので、公演パンフレットにあった本郷和人氏(東京大学史料編纂所教授)が書かれた
「『応天の門』雅の前の時代について」のページはとても参考になりました。
今回の作品設定は、まだ唐の影響を色濃く受けていた時代ということで、フットワークの軽そうなお衣装の月城さん。
原作を読んでいなかったのでお話について行けるか少し不安だったのですが、
テンポよくお話が進み、ストレスなく理解することができました。
お話の主題は謎解きで、胸キュン要素は少なめでしたが、十分楽しめる作品だったと思います。
最後は問題が解決したという終わり方ではなかったので、個人的にはすっきりしなかったのですが、
物語の奥行を感じさせるには、この方が良かったのだろうと自分を納得させました。
舞台装置やライティングがとても素敵で、特に印象的だったのは最後のシーン。
赤が効いた背景に、月城さんが一人舞台で佇む姿には余韻が感じられ、まるで美しい絵を見ているようでした。
個人の感想
月城かなと
原作を読んでいれば当然わかっていたことなのですが、まず月城さんの少年設定にびっくり!
月城さんが「吾子さま」なんて呼ばれていることがとても新鮮で、
優秀で理知的なのに、ちょっと拗らせぼっちゃま的な表情を見せるのが可愛らしかったです。
元々可愛いというよりは美しい顔立ちの方ですし、声も落ち着いたトーンなので、少年らしさを出すのは大変だったのではと推察されますが、
トップになってこんな少年設定の月城さんが見られたことは、嬉しい期待はずれ!
とはいっても、よどみなくセリフを話されるところには、理知的な菅原道真らしさをしっかり感じとることができました。
海乃美月
月城さんを「ぼっちゃま」呼びするしっかり者の女性です。
唐からやってきて、京で商いをしながら遊戯場も経営。
そんな豪快さもありながら、弱者にも目を掛ける優しさも持ち合わせる女性を、とても魅力的に演じていました。
唐風のお衣装も良く似合っていて素敵でした。
鳳月杏
今回は月城さんが「吾子さま」なので、色男パートは鳳月さんが独占です。
本当にこういう設定の鳳月さんは、安心して観ていられますよね。
余裕のある大人の男っぷりは、なかなか下級生には出せない魅力です!
その他の方々
梨花ますみ
月城さんを「吾子さま」と呼んで納得できるのは梨花さんだから。
和装の佇まいも身についた自然さです。
風間柚乃
どんなお役も、いつも安心安定で観ていられます。
悪だくみしているときの表情が本当に上手!
光月るう
光月さんがその声で話されるセリフには、いつも言葉以上の深い意味を感じさせられました。
千海華蘭
少年からおじさんまで変幻自在。それでいていつも千海さんらしい魅力が溢れている素敵な生徒さん。
今回演じられた清和帝は、とてもチャーミングでした。
いつも月組の舞台を引き締めて、深みのあるものにしてくれた組長さんの光月さんと
92期の千海さんのご卒業は、本当にさびいしいですね。
その他には、礼華はるさんや彩海せらさんの活躍が見られる一方、実力ある彩みちるさんの使い方はもったいないと思ったり、
身長180cmの大楠てらさんが、スキンヘッド姿の迫力ある役の創り込みでびっくりしたり。
今回は恋愛要素が少なかったので、次回は月城さんと海乃さんの切ないラブストーリーが観たいです!
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