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ゆり
子供のころからファンだった宝塚歌劇
結婚や子育てで離れていましたが
2011年から観劇を再開しました。

夫が病で亡くなって一人暮らしとなり
宝塚歌劇に生きる活力をもらいながら
感動と心地よい暮らしを
積み重ねていくことが目標です。

何歳になっても元気に大劇場へ通うため
ピラティスや姿勢改善など
セルフケアにも取り組んでいます。

宙組多めの全組観劇派です。
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一本物じゃない方が良かった?『カジノ・ロワイヤル』

宙組トップスター真風涼帆さんの退団公演は、小池修一郎先生の一本物『カジノ・ロワイヤル』でした。

小池先生といえば数々の一本物でヒット作を生み出した先生で、

作品のテーマやメッセージがしっかりある上に、エンタメ性も高い作品が多い印象です。

でも今回の『カジノ・ロワイヤル』については、一本物じゃない方がよかった…という感想が多い様子。

そんな評判について、思うことをお話しします。

結論としては、前回のショー『Capricciosa!!』は十分過ぎるほど退団仕様でしたし、

今回の『カジノ・ロワイヤル』は一本物でよかったと私は思っています。

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目次

一本物で丁寧に描かれたお芝居

宝塚ではお芝居とショー二本立ての公演が多いですが、

小池先生の作品が上演される場合は、お芝居のみの一本物で上演されます。

二本分の時間をかけて描かれるので、脚本は細部にこだわって書き上げられ、

ナンバーも二本立てのお芝居よりはしっかり取り入れられるでしょう。

必然的に二本立てのお芝居より充実した内容になり、

さらにそこに小池先生の手腕が発揮されるわけですから、見応えのある作品になるのは当然のこと。

一本物の場合、中だるみを感じることもありますが、

小池先生の作品はエンタメ性もしっかりあるので、そう感じることはほとんどありません。

今回の『カジノ・ロワイヤル』についても同様でした。

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トップスターにぴったりなキャラクター

小池作品を実際に観劇したのは宝塚観劇を再開した2011年以降なのですが、

観劇の度に、主役のキャラクターがそれを演じるトップスターにぴったりだなと感じていました。

私が実際に観劇したもので、小池先生が作もしくは脚本を担当されたもの(潤色は除く)を挙げてみます。

  • 柚希礼音:『オーシャンズ11』、『眠らない男・ナポレオン』
  • 凰稀かなめ:『銀河英雄伝説@TAKARAZUKA』
  • 蘭寿とむ:『オーシャンズ11』(再演)
  • 龍真咲:『PUCK』
  • 早霧せいな:『るろうに剣心』
  • 珠城りょう:『ALL FOR ONE』
  • 明日海りお:『ポーの一族』
  • 望海風斗:『ONCE UPON A TIME IN AMERICA』
  • 真風涼帆:『カジノ・ロワイヤル』、『NEVER SAY GOODBYE』(再演)、『オーシャンズ11』(再演)
  • 月城かなと:『グレート・ギャツビー』(再演)

再演も含め、改めて振り返ってみても生徒の個性にぴったりなキャラクターばかりと思わされます。

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宙組生への愛があふれている『カジノ・ロワイヤル』

小池先生が真風さんの最後の舞台に選んだのは、ジェームズ・ボンド。

今回もまさにぴったりのキャラクターです。

ジェームズ・ボンドといえば、タフで頭脳明晰、スタイリッシュにスーツを着こなし、女性にはモテモテ。

こんな全方向に素敵な男性を最後に演じられるのは、男役冥利に尽きるでしょう。

一幕では様々なスーツスタイルを男役として完璧に着こなす姿、

二幕ではラフなスタイルでタフなリアル男子を彷彿させる姿で、真風さんの魅力を存分に引き出す演出です。

そんなお芝居に、最高にカッコいいフィナーレ。一人だけで舞台にたたずむ感動のエンディング。

トップスターの退団公演としては本当に完璧で、改めて小池先生ってすごい…と感心しました。

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ストーリーの内容だけを考えれば、二本立てのお芝居でもよかったとは思います。

「007」シリーズは娯楽作品としての映画のイメージが強いので、深い感動を得る作品にはなりにくいでしょう。

真風さんの退団公演に、心震わす感動作品を持ってくることも可能だったでしょうが、あえて小池先生はそうされませんでした。

『NEVER SAY GOODBYE』で極度の緊張を強いられた真風さんや宙組生たちを、

解放させ羽ばたかせたいというお気持ちがあったと、公演プログラムでその心の内を語られています。

そのお言葉のとおり、退団する生徒さんを含め、それぞれの生徒さんにふさわしい見せ場が作られ、

いつも以上に真風さんと絡む場面が設けられていたり、

シンプルなストーリーの随所に宙組生への愛が感じられました。

一本物にすることで、そういった場面を多く創り上げることができていたと思います。

退団するトップスターにだけ焦点を当てるのではなく、真風さんが率いてきた宙組生全体の実力と成長を見せてくれる素晴らしい公演でした。

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プロローグやパラシュートの場面、最後に一人大劇場に立つ真風さんなど、

はっきりと記憶に残る場面が多々あり、小池先生が視覚に訴える演出効果を強く考慮されていることも感じました。

何年か経って真風さんの退団公演を思い出すとき、それらの場面が脳裏に浮かんでくることでしょう。

真風さんは、初舞台の『NEVER SAY GOODBYE』以来、小池先生の作品に11作も出演されているそうです。

『カジノ・ロワイヤル』は、折々で先生の厳しい指導に応え、成熟した男役になった真風さんへの先生から贈り物のようにも感じられ、

たとえ通常の退団公演とは違う一本物であっても、素晴らしい退団公演だと思いました。

お付き合いありがとうございました。
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コメント

コメント一覧 (2件)

  • こんにちは!私も先日観劇してまいりました。全く同じ感想です。退団公演ですから主役がカッコイイのはほんとに素敵な事です。
    一部の真風さん以外のファンは不満に思っていたり通うのがしんどいとか呟いてる方々がいますが、退団公演位不満を呟かずきれいに送り出せないものかと申し訳ないですが、一部の宝塚ファンの民度の低さに呆れるばかりです。小池先生の華やかに送ってあげようと言う心意気が随所に散りばめられている素敵な公演ですよね。外野は気にせず千秋楽を無事に迎えられる様願うばかりです。

    • こんにちは。コメントありがとうございます!
      ジョルジュさんも同じように思っていらっしゃるとのこと、大変嬉しいです。小池先生の愛情を随所に感じる、温かく素敵な公演で良かったですよね。

      退団のための作品として観る場合と、単なる一作品として観る場合では、感想は違ってくるとは思います。退団者への思いが強い場合は特に…。なので、駄作だとおっしゃる方々のご意見も頭では理解はできるのですが。。こっそり、最後くらい温かく見守ろうよ!と言いたくなってしまいますね…!

      いろいろな考え方があるとは思いますが、「究極の男役」の美しい姿を脳裏に焼き付けながら、大千秋楽まで無事完走できることを私も祈っています。

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