月組の彩海せらさん主演のバウホール公演『Golden Dead Schiele』。
彩海さん、バウホールでの初主演おめでとうございます！
配信を視聴しましたので、感想をお話ししたいと思います。
作品全体の印象
本作は熊倉飛鳥先生が作・演出の画家を主役とした作品で、主役はエゴン・シーレ。
19世紀末から20世紀にかけてオーストリアのウィーンで活躍した画家です。
絵の印象は、当時の有名な画家クリムトよりもさらに表現が尖った感じで、
その世界観をどのように描かれるのだろうと興味深く視聴しました。
世紀末のウィーン、暗く不安定な世相がエゴンの感情とリンクするように、舞台は全編を通して暗めです。
熊倉先生はエゴンの感情の起伏を丁寧に描かれていて、無理なく心に入ってきました。
彩海さんだからエゴンを選んだのか、エゴンを演じるにあたって彩海さんを選んだのか、
熊倉先生の意図はわかりませんが、彩海さんの個性を活かせる役だったと思います。
特に印象的だったのは、暗い舞台の中で赤い布が象徴的に使われたダンスで、
繊細なエゴンの心の中に潜む激しい熱さを本当に上手く表現していました。
エゴン・シーレの実際の絵も随所に使われており、
特に有名な「死と乙女」の絵は効果的で、舞台により深みを与えていたと思います。
フィナーレも黒燕尾でのダンスがあり、全編通して見応えのある作品で、満足度は高かったです！
劇場で観たかった…彩海せら
彩海さんはバウホール公演初主演ですが、歌もお芝居も素晴らしい実力を見せてくれました。
『グレート・ギャツビー』新人公演の主演でその実力は知っていましたが、今回は月城さんのお手本はなく、
自分で一から役を作り上げていたので、彩海さんの個性がさらに際立っていたように思います。
お芝居には強い説得力があり、活舌も良く、歌唱も力強くて本当に素晴らしかったです。
お顔立ちも華やかで目を引き、目力もあって、スターの要素は揃っている印象。
配信映像ではアップで映ることが多かったので、
実際に劇場の椅子に座って、その空間を支配する力を感じてみたかったです。
彩海さんの１つだけ気になるところは、男役の中では小柄という点。。
アップの映像では気になりませんが、他の男役と並んだときや、
娘役とのダンス場面を引きの映像で見ると、身長もありますが、やはり華奢さが気になってしまいます。
客席で実際に観ると、そんなことも気にならない実力と存在感を感じられそうなので、
是非とも生の舞台で確認してみたいです！
白河りりのヒロイン力
本作でヒロインを演じた白河りりさんは、かなりのヒロイン力の持ち主だと思います。
今回の視聴で、白河さんは可愛い娘役も、大人の女性役も、
どちらも違和感なくできる娘役さんだということに改めて気づかされました。
2019年の『I AM FROM AUSTRIA』で新人公演初ヒロイン、
今回がバウホール公演初ヒロインですが、まだ東上別箱ヒロインは演じていません。
その点が、条件的にトップ娘役は無理なのかもしれませんが、
白河さんはどんなタイプの男役にもなじみやすい印象があるので、今後の活躍に期待しています。
月組の次期トップ娘役候補としては、彩みちるさん、天紫珠李さんを挙げられる方が多い印象です。
彩さんは変幻自在で魅力的、天紫さんは大人っぽいお芝居が素敵ですよね。
お二人の活躍が楽しみなので、最近言われ始めた舞空瞳さんのスライドはやめてほしいな…と正直思っています。。
クリムト役の夢奈瑠音さんの落ち着いた温かみのある演技は、上級生ならではの説得力があり、
瑠皇りあさんや七城雅さんなどの活躍も目を引きました。
開幕直後に出てきたアルトゥール・レスラー役の英かおとさんのスーツ姿は
宝塚の男役らしい美しさで、イケオジ的配役にするのはもったいない！
下級生がどんどん育ってきていますが、これからも頑張ってほしいです。
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