花組の聖乃あすかさん主演の『Liefie（リーフィー）－愛しい人－』、
シアター・ドラマシティ公演の初日を観劇してきました。
ロマンチックコメディは大好きなジャンルなので、期待を込めて劇場へ行ったのですが…
かなり辛口な感想になってしまいました。
全体の感想
情熱的でドラマチックな『ドン・ジュアン』を配信で観た直後なだけに、
ほのぼのとした、というよりは何だか生ぬるい雰囲気を強く感じてしまいました。
「言葉」というテーマ自体は素晴らしく、作・演出を担当された生駒先生の趣旨は分かるのですが、
それが全然伝わってこず。。
夏休みで小学生も観るから、シンプルに分かりやすく仕上げたのかな？と思いたくなるほど、
脚本が書き込めていないように思いました。
特にミラ（七彩はづきさん）や、レオ（侑輝大弥さん）が
なぜそのような心情になったかが分かりにくく、
レオが心を入れ替えて謝る場面も、単なる心変わりかな？と思うほど
あまりにも簡単に心を入れ替えたことになっていて、もう少し掘り下げて描いてほしかったです。
下級生にもセリフが多く、それぞれに見せ場を与えられているのは良かったのですが、
舞台全体が騒々しく、まるで児童劇団の公演かのようにも見えてしまい。。
テンポ良くセリフを掛け合うはずの場面も、早口や活舌がイマイチで分かりにくいことが多くて、
生駒先生はあまり厳しい指導はされなかったのでしょうか…。
ロマンチックコメディと称されている割には面白味も伝わってこず、
内輪受けで笑いがあっても、何となく上滑りに感じる部分が多かったです。
最後はダーン（聖乃あすかさん）が跪いてプロポーズという、ほのぼの幸せな結末。
こういうエンディング、私は好きです。とは言え、今回はほのぼのし過ぎでした。
ピシッと締まる場面もあったらよかったのにな…と思ったところでフィナーレ。
赤と黒のドレス姿の娘役さんたちのダンスで、一気に舞台が引き締まりました。
最後に宝塚らしい華やかさが楽しめて、フィナーレがあって本当によかったです。
キャスト別の感想
聖乃あすか（ダーン）
全体的に破綻なく演じていました。
生駒先生は「歌劇」７月号の対談で、
聖乃さんが前回主演された２作（『舞姫』と『PRINCE OF ROSES』）が結構かっちり系のお話だったので
今回の作品はナチュラルな雰囲気が良いかと思った、と話されていましたが、
聖乃さんが元々持っているオーラが華やかで美しくゴージャス過ぎて、いまいちナチュラルにはそぐわない。。
『花より男子』で演じた花沢類のクールなナチュラル感はよく似合っていたのに…
素朴なナチュラルは似合わないのですね。
それとも役作り不足…？
七彩はづき（ミラ）
『うたかたの恋』の新人公演で初ヒロインを務めた七彩さん。
その舞台姿を観るのを楽しみにしていたのですが、今回はあまりヒロインらしさを感じられませんでした。
七彩さんの実力というより、脚本のせいだと思います。。
侑輝大弥（レオ）
期待通りのカッコよさに仕上げてきていました！
殴り合いのシーンは俊敏な動きで、精悍さが際立っており、今後が本当に楽しみです。
課題は歌唱力でしょうか…頑張ってほしいです！
一樹千尋（ヨハン）
一樹さんの演技で、舞台が一気に心に響くものに変わりますね。
ベテランの手練で、観客をクスっと笑わせるのもさすが！
一樹さんのおかげで、かろうじてお話に奥行きが広がりました。。
今回は改めて、役柄と本人のキャラクターの相性、
そして脚本自体の完成度について考えさせられた公演でした。
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