月組・全国ツアー公演『ブラック・ジャック 危険な賭け』『FULL SWING!』を配信で視聴しました。
『ブラック・ジャック』は全くの初見ですが、感想をお伝えしたいと思います。
『ブラック・ジャック 危険な賭け』
『ブラック・ジャック』は手塚治虫氏の代表作で、今年は連載開始50周年のメモリアルイヤーになるそう。
恐らくいろいろな場面に原作へのオマージュが散りばめられているようで、
原作をちゃんと知っていれば、感動もより深まりそうでした。原作を読んでおけばよかった…と少し後悔。
物語は人の命の尊さや愛、傲慢さなどシリアスな内容を扱っていて、舞台も全体を通して暗い場面が多い印象でしたが、
正塚先生らしい演出で笑わせるところもあり、暗い場面が続く中でも登場人物のやり取りから温かさがあふれていました。
『ELPIDIO』と2組に分かれたことで人数が少なくなっていましたが、そのおかげで下級生も大活躍!
以下、個人の感想をお伝えします。
月城かなとさん
神技的な腕を持つ天才外科医ブラック・ジャックを、月城さんらしい抑制の効いたお芝居で見事に表現していました。
顔の傷は月城さんの美しい顔だからこそ凄みが増す感じで、
知性を感じる落ち着いた声のトーンも、役のイメージにぴったりでした。
海乃美月さん
海乃さん自身のイメージに、「儚くか弱い」と「芯がとてもしっかり強い」という二面性を感じていたので、今回の2役はぴったりはまった感じです。
短い時間で切り替えて演じているところはさすがです。
風間柚乃さん
お芝居はいつもの安定感。お顔が少しシャープになられて華やかさが増していました!
飾りのない地味なジャケットスタイルを男らしく着こなしていて、『ブエノスアイレスの風』に続き今回も
正塚先生の描かれる「あぁ」と言いがちな、ぶっきらぼうだけど温かい男役像を的確に表現していました。
アイリスの手術を待つ間の繊細な心の動きを表す場面は、オーバーな演技ではなく心に響きました。
礼華はるさん
お話がシリアスに展開していく中で、礼華さんの温かみのあるお芝居には心が癒されました。
礼華さん自身に感じる素朴な優しさと、役のジョイの性格がぴったり重なっているようでとても自然。
悪い事に加担していても憎めないような…男役の惹かれる魅力の一つですよね。今後が本当に楽しみ!
一輝翔琉さん
まだ研2ですが、ブラック・ジャックの影に抜擢されていて驚きました。
初舞台のロケットのときから目を引いていましたが、劇団からの期待値の高さが伺えますね!
『FULL SWING!』
全編ジャズで構成された大人なショー
月城さんの持ち味にも合う都会的かつスタイリッシュなショーで、観ている側も軽くリズムをとってSWINGしてしまいそうでした!
それぞれの場面は、どれも素敵で良かったです。
ただ、大劇場での公演の時にも思ったのですが、最初から最後までずっとジャズが続くのはちょっと退屈な気も…
私がジャズに慣れ親しんでいないせいかもしれませんが、何となく抑揚に欠けていて、ずっと同じレベルで進んでいくような印象。
タイトルが『FULL SWINNG!』なので仕方がないのかもしれませんが、もう少し若さがはじけるような、パンチの効いた場面も入れてほしかったです。
ただ、そういう場面担当のキラキラした若手が今の月組には足りないような。。
大人っぽく渋い魅力だけでも十分満足なのですが、普段から宝塚を見慣れていると何か物足りない気がしてしまいます。
強い存在感の風間柚乃と礼華はる
今回のショーで、特に存在感を感じたのは風間さんと礼華さんでした。
風間さんはお芝居が上手な人というイメージが強かったのですが、
歌の上手さに加えて、以前よりも華やかさが増したようで男前度がアップしていますよね!?
礼華さんも歌やダンスで中心になる場面がたくさんあり、しっかり3番手ポジションについていました。
身長が高く素朴で優しい彼氏感が、月城さんや風間さんとは違った持ち味で、これからが期待されます。
そんな礼華さんが、階段降りで夢奈瑠音さんを抜かしたのにはとてもびっくりしました。
少し前の場面で夢奈さんが歌われていたときに、上級生らしい華やかさと安定感を感じていた直後だったので。。
こうして下級生が育っていくのですね。
月組の下級生の活躍と、メンバーの新陳代謝を強く感じた配信視聴でした。
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