現在上演中の宙組公演『Capricciosa!!』のデュエットダンスで、芹香斗亜さんが天彩峰里さんと目を合わさないことが話題にのぼっています。
それに関して、私なりに思ったことをお伝えしたいと思います。
最初に感じたこと
この話を聞いて最初に思ったことは、不仲説が本当か嘘かに関わらず、
組長の寿さんや副組長の松風さん、トップスターの真風さんは
舞台技術のことだけでなく組子の人間関係にも目を配らなくてはいけなくて、本当に大変なんだろうな…ということでした。
演者たちの心が一つにまとまって熱い情熱を持って演じられると、そのエネルギーやパワーが観客に感動をもたらします。
観客の感動はまた、跳ね返って演者たちに伝わり、達成感につながるに違いありません。
そんな素晴らしい達成感を経験していることが多い上級生は、どの舞台もそんな舞台にしたいでしょうし、
経験の少ない下級生たちにも同じ思いをさせてあげたいと思っているはず。
ただ、どんな社会でも人が集団になれば合う合わないはあって当たり前ですし、
まして80人近い人数の気持ちを一つにするのは本当に至難の業でしょう。。
ブルーレイで検証
問題となっている場面について、私は大劇場で複数回観劇したのですが、そのときには気づきませんでした。
そこでブルーレイで確認してみたのですが…
3組のデュエットダンスなので真風さんを中心にカメラアングルは変わり、芹香さんの表情をずっと追っているわけではなく、正直よくわかりませんでした。
ただ芹香さんは、このダンスに入る前から表情は険しめ。
柔らかい表情の真風さんや桜木さんとは対照的です。
途中で芹香さんがアップになるところや、最後の決めポーズのときも表情は険しめ。
とは言っても、男役がニヒルに決めるときには、こんな表情はよくある気もします。
芹香さんだけ実らない辛い恋の相手とのデュエットダンスという設定があったのか…
だとしたら、最後のニヒルな険しめの表情も納得です。
でもそんな相手であれば、組んだときにはより熱く視線を交わすのが自然ですよね?
次期宙組のトップコンビは芹香さんと天彩さんと考えている人が多いと思われる中、
仲が悪いと見せかけて発表で実は…という意外性を持たせるための演出なんていうのも考えにくいですし。
演出の藤井先生や芹香さんが、この場面をどう作ろうとしたのかはわかりませんが、
少なくとも観客をネガティブな意味でざわつかせた時点で、ふさわしくない表情作りだったと思います。
いずれにしても、芹香さんのマイナスイメージにならないように、何かフォローが必要だと思います。
生徒だけどプロ
以前、日本経済新聞の「私の履歴書」の連載記事で、宝塚の演出家である植田紳爾氏が印象的なことを語っておられました。
「あるトップスターに一人の娘役を相手に組ませたところ、後になって周りの生徒から
あの二人はオフでは一切口を合わせない間柄だった、と言われたことがあった。」
詳しい文面ではないですが、大意はそんな内容でした。
夢を売る舞台ですが、生徒たちにとっては夢ばかりでないことは容易に想像がつきます。
同じような成績でも抜擢されたりされなかったり。。
作品を作り上げていく過程で、やり方の気にいらない人が目につくなんてこともあるでしょう。
年齢が近い人たちの集まりなだけに、余計に難しい部分もあるかもしれません。
宝塚はビジネスではありますが、劇団に入っても生徒と呼ぶことから分かるように
なんとなくクラブ活動的な、根性でみんなで頑張って作り上げるものという雰囲気が感じられます。
それが良い方向に向けば、強い一体感が出ると思いますが…
観客側にとっては、演者さんがプロであるという意識が薄れる一因でもある気がするのです。
だから今回のように、学生の部活内のいざこざを見ているように言われてしまうのでは。。
トップの真風さんはよくインタビューなどで、仕事という意識を強く持っているとおっしゃっています。
そんなプロ意識の高いトップさんがまとめてきた宙組で、芹香さんも天彩さんもプロ意識に欠けるお人柄とは到底思えないですし、
たとえ本当に不仲であっても、舞台上でそれを見せるようなことは絶対されないはずです。
明日の千秋楽は配信で見る予定ですが、問題の場面が最後にどうなるのか。。
心配はしていませんが、なんだかドキドキしてしまいますね…!
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